2010/03/21

アルバイト中?






レキオです。

本日は、職場の卒業式です。

レキオも、正装で参加です。
衣装は、同僚のM先生のものをお借りしました。

いや、とても暖かくて、気持ちいいですね。気に入ってしまいました。

ちょっと癖になりそうだなー!

なんなら、このまま電車で帰ろうかな!

2010/03/09

グレン・グールドと珈琲

レキオです。

3月も半ばだというのに、今日の京都は、今にも雪に変わりそうな、冷たい雨が降る一日です。

最近、Cafe巡りにはまっています。自宅で仕事をしていると、どうしてもパソコン、ネットを触ったりして集中できないので、自宅近くのミスドなんかに籠もって、しこしこと仕事をするなんてことは、以前からよくやっていたのですが、最近の一冊の本との出会いが、私を街中のCafeへと誘い出してくれました。

その本は、ぐうぜん四条の書店で手に取った、川口葉子『京都カフェ散歩』(祥伝社黄金文庫)という一冊です。いままでにも、京都のCafeを紹介した雑誌や書籍を買うこともあり、この本に紹介されているCafeにもすでに知っているものがあるのですが、なぜかこの本に紹介されていると、そのCafeには行きたくなり、少しずつ巡っているのでした。おそらく、著者の文章が私には合っているのでしょう。Cafeを営んでいる方たちの人となりにまで踏み込んだ、しかし、押しつけがましくない文章を読んでいると、それだけでCafeに行った気分になり、幸せになります。著者はCafeを紹介した有名なウェブサイトの主宰者とのことですが、そのサイトは見たことがありません。

そして、今日、この本の冒頭に紹介されている「直珈琲」というCafeに行ってきました。場所は河原町カトリック教会の南の筋に面した場所にあります。川口さんの本には、8ページも費やして、この「直珈琲」を紹介しています。このブログにある写真も、本書から引用しました。行ったのだから直接撮れば良かったのですが、私などが写真を撮る雰囲気ではなかったのです。といっても、居心地が悪いというのではなくて、初心者の私にもとってもこころの落ち着くCafeでした。ただ、わざとらしいことはしたくなかったのです。Cafe自体の説明は、川口さんの本に譲ります。

私は、同じ場所に以前あった限定本を出していた小さな、しかしステキな書店「湯川書房」に、本が好きな私は何度が寄ったとがあり、そこのご主人が亡くなり、そこが直珈琲になったことを川口さんの本ではじめて知ったのでした。そこに記された内容と、収められた写真は、ぜひ一度寄ってみたいと思わせるもので、今日それが実現したのでした(行けばよいだけなのですが)。実際の直珈琲は、本で紹介された通りに、いや、それよりも実物は素晴らしく、これも最近読んだ木村宗慎『利休入門』(新潮社、とんぼの本)に紹介された、利休が建てたという茶室を現在に甦らせるとこんな風かな、と思わせるような、無駄を一切省いた、選び抜かれた土と木だけの、ほんとうにステキな空間でした。川口さんの本に紹介されていないことを一つだけ付け加えると、外に出て、建物に沿って奥に入るトイレへのエントランス(?)も飛び石が据えられ、外の空気と触れあうことができ、とてもステキでした。

さて、前置きが長くなったのですが、そこでブログに書かなくてはと思わせた出会いがありました。 私が立ち寄ったときは、客は私だけで、とっても美味しいブレンドを飲みながら、雑誌を開いていたのですが、そのうち、店主の渡辺さんが、それまで店内にかかっていたジャズから、音楽を代えたのでした。その時聞こえてきたのは、たいへん聞き覚えのある、ピアノによるアリアでした。グレン・グールドが弾くバッハの「ゴールドベルク変奏曲」、それだったのです。私はかなり以前、グールドにはまっていた時期があり、グールドが最期に遺した、とくに有名なこの一枚は繰り返し聴いたことがありました。

その音楽と、直珈琲の無駄を省いた空間がまるで最初からそのように造られていたかのように、予定調和のように合ったのです。渡辺さんによれば、ジャズなどを主に聴き、掛けていたが、お客さんに、これも名盤であるグールドの衝撃的なデビューであり最初の録音である「ゴールドベルク変奏曲」を勧められてから、クラッシックも店に合うのだと思い、聴き、掛けるようになったとのこと。よく知ったアリアが流れた途端、雑誌を追いかけていた私の眼は止まり、その空間を満たすグールドのピアノの音色にうっとりとしてしまいました。 禁欲的な店内には、ほんとうは音楽さえも無駄なのかも知れませんが、グールドのピアノは珈琲の味、香りと共に、私の心に染み入りました。

トイレに置いていた「湯川成一と湯川書房ゆかりの美術家たち」展の葉書を私が持ってきたことをきっかけに会話が始まった店主の渡辺さんとの語らいも、楽しいものでした。これからも、機会があれば、ぜひ尋ねてみたい直珈琲でした。

うれしくなって書いているうちに、ながーい文章になってしまいました。しかし、直珈琲の一杯は、一飲の価値あり、です。